みちびき地蔵

来月出版予定の楽譜が完成しました
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川上統さん作曲、左手のピアノの為の組曲「みちびき地蔵」です。
この曲は宮城県気仙沼大島の民話を題材にしています

あらすじはこのようなものです

浜吉とその母は暗い浜道を歩いていました、浜吉は眠くてしかたがありません。
ちょうど丹後の節句のころでした。この村は人が少なく近隣の家のお手伝いに行くこともよくあり、母子はその帰り道でした。
みちびき地蔵をというお地蔵様の近くを通ると人の気配を感じました。このお地蔵さまは明日死ぬ人が挨拶にくるという云われがあります。
地蔵さまの前で年若い男の亡者がお祈りをしていました。浜吉の母は「こんなに若いのに、漁で船の事故にでも会うのだろうか・・」とかわいそうに思いました。
すると男の祈り終わりを待っていたかのように今度はおばあさんの亡者が祈りを始めました。
「あのお婆さんは村1番のお年寄りの人だ、最近病気をしていたようだし、とうとう・・」
さらに、後ろには幼い乳飲み子を抱えた若い女性が立っていました。その後ろには子どもの亡者、その後ろにも何人もの亡者が列を作っていました。さらによく見ると亡者の間に馬や牛も並んでいたのです。亡者たちは次から次へとお地蔵さんにお祈りをしては天へ上っていきました。
母は恐ろしくなり、浜吉を連れ急いで家に向かいました。
帰って夫にその話をするも、狐に化かされたのだろうと笑い飛ばされます。

翌日は見たこともない引き潮でした。村の皆は浜辺で海藻がよく取れると大喜び。
浜吉親子も潮干狩りに来ていました。村のお年寄り達は、こんなにも潮が引いたのは何十年ぶりだろうか、と言います。
やがて潮が満ちる時間になっても、まだ潮が満ちてきません。そこに大津波が襲ってくるのです。
浜吉親子は裏の松山まで逃げなんとか生き延びます。
そして昨日みちびき地蔵に祈っていたのはこの津波の犠牲者だったと確信するのです。

このようなお話です。
この津波では61人が犠牲になったという記録があります。

作曲者の川上統さんはこのお話の印象的な4つのシーンを取り上げて曲に仕上げています。
「津波の巻」は聴いているだけで恐ろしく、「終曲の輝くお地蔵様の巻」は魂が浄化されるような非日常的な感覚になります。

川上さんは以前にも「宮沢賢治の夜」という左手のための組曲も作曲されていて、演奏会の度好評をいただいています。
この「みちびき地蔵」もきっと多くの人の心を打つ作品だと思います。

11月1日、東京JTホールで行われる左手のアーカイブコンサートⅧで頒布開始予定です。
この日は私の先生の智内威雄さんが演奏します。

これからも片手の音楽が多くの人に感動と希望を届けれますように。